大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和54年(行コ)9号 判決 1980年9月24日

東京都杉並区荻窪三丁目七番二三号三〇二

控訴人

日下正一

東京都杉並区天沼三丁目一九番一四号

被控訴人

荻窪税務所長

瀧口良光

右指定代理人

石川善則

古俣与喜男

中村政雄

一杉直

山崎正隆

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人の昭和四九年分所得税につき昭和五〇年七月三〇日付でした更正処分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

(主張)

控訴人

日下みつ子に対する給料賃金四二万六〇〇〇円は本件更正処分において否認されていないから、控訴人の事業所得計算上の必要経費から除外することは、不告不理の原則により許されない。

(証拠関係)

一  控訴人

甲第五二、第五三号証の各一、二、第五四号証の一ないし七、第五五号証の一、二、第五六ないし六〇号証、第六一号証の一ないし三、第六二、第六三号証の各一、二、第六四号証、第六五号証の一、二、第六六号証、第六七、第六八号証の各一、二、第六九、第七〇号証、第七一、第七二号証の各一、二、第七三、第七四号証、第七五号証の一、二、第七六ないし七八号証、第七九号証の一ないし八、第八〇号証の一、二、

控訴人本人(当審)

乙第二一ないし二三号証の成立は不知、

二  被控訴人

乙第二一ないし二三号証

甲第五四号証の一ないし七、第五五号証の一、二の成立は不知、その余の前掲甲号各証の成立は認める。

理由

当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないから棄却すべきであると判断するが、その理由は、次のとおり付加するほか、原判決の理由に説示するところと同一であるから、これを引用する。控訴人の当審における新たな主張・立証も前記判断を左右するには足りない。

1  原判決九枚目表六行目から七行目にかけての「第一〇号証」の下に「弁論の全趣旨により成立の真正が認められる乙第二二、第二三号証」を加え、同七行目の「後記」を「原・当審。但し後記」と改め、一〇枚目表四行目、一二枚目表三行目、同裏八行目、一三枚目裏一行目の「本人尋問の結果」又は「本人尋問」の下に「(原・当審)」を加える。一二枚目裏六行目の「第二〇号証、」の下に「成立に争いのない甲第七〇号証」を、同七行目から八行目にかけての「第四四号証の一」の下に「、弁論の全趣旨により成立の真正が認められる乙第二一号証」を加え、一三枚目裏三行目の「しかしながら、右供述自体あいまいてある上、(支払方法についても、原審供述と当審供述とでは相違している)前掲乙第一一、第二一号証によれば、博文の退職時期が昭和四九年中であったかどうか判然としないし、抑々控訴人がこの退職金を問題とするに至ったのは昭和五二年一月三一日付準備書面においてであり、しかも同日付で控訴人が荻窪税務署長に提出した昭和四九年分所得税の更正請求書(乙第一七号証)には更正請求の理由として、留保中の退職金(六〇万円)を昭和五〇年六月三〇日実施のためと記載されており、更に前記乙第二一号証で、博文は、父(控訴人)の所に出入りしなくなるに当って、親子の縁切りに際してのいわば分与金のようなものと考えて、父に頼み込んでまとまった金を貰ったが、その金額は五〇万円以下であったと思う旨述べているのであって、これらと対比すると控訴人本人の前記供述はたやすく措信し難く、他に控訴人主張の退職金の支払確定の時期、支払金額を確認するに足る的確な証拠はない。と訂正し、一五枚目表六行目の「5(二)」を「5(一)」と改める。

2  控訴人は、日下みつ子に対する給料賃金四二万六〇〇〇円は不告不理の原則により必要経費から除外することは許されない旨主張するが、独自の見解にすぎず、採用することができない。

以上の次第であるから、本件控訴は理由がなく棄却すべく、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中永司 裁判官 宮崎啓一 裁判官 岩井康倶)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例